The Year について
Charlie Leung と娘の写真

はじめまして。Charlie Leung と申します。この写真は、私と娘です。

先に、母の話をさせてください。

母は 1940 年代の生まれです。年を重ねて、このごろは忘れることが増えました。昨日の夕飯も、さっき言ったことも。

ある日、母と散歩をしていたときのことです。母がぽつり、ぽつりと、子どものころの話をはじめました。

暮らしはとても貧しかったこと。祖父は「女に学問はいらない」という人で、母を学校に行かせなかったこと。それでも母は、毎日草刈りに出るふりをして、かごを背負ったまま学校まで走り、教室の窓の外で、こっそり授業を聞いていたこと。

私は黙って聞いていました。切なくて、でも、どこか誇らしい話でした。

あとで気づいたのです。この話を、母はこの七、八十年、たぶん誰にも、ちゃんと話したことがなかった。あんなに忘れっぽくなった母が、窓の外で聞いた授業のことだけは、昨日のことのように覚えていた。——あの日、散歩に出ていなかったら、この話は誰にも知られないまま、消えていたかもしれません。

私は 1970 年代の生まれです。母の子ども時代を、私は本当の意味では分かってあげられません。そして私の娘は、もっと分からないでしょう。でも、分からなくていいから、知っていてほしい。おばあちゃんが、窓の外で勉強した人だということを。

そういう話が、どの家にも、きっとあります。

教科書に載る「歴史」ではありません。でも、それこそが本当にあった暮らしで、本当にあった歴史です。記録されなければ、一代で消えてしまう。記録されれば、母のものになり、私のものになり、娘のものになる。

The Year をつくったのは、それが理由です。

生まれた年の新聞で、思い出にもう一度会ってください。同じ年に生まれた人と、「あれ、覚えてる?」と語り合ってください。あの一言が通じる相手との会話は、不思議なくらい、あたたかいものです。そして、よかったら、あなたの話をのこしてください。

うまく書けなくていいんです。話すだけでいい。母が散歩の途中で話してくれたように。

お会いできるのを、楽しみにしています。

Charlie Leung
The Year 創業者
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